裏方のプライド。 ープロジェクト紹介ー

技術研究所
土木事業-技術研究所

土木事業技術研究所 技術研究所では、工事に使用するアスファルト合材の試験や、舗装の下に敷く土・砕石の試験を行います。お話させていただくのは、技術研究所所長 野村 功、課長 山脇 健司です。

所長

野村 功

課長

山脇 健司

細かいと言われたらそれまでなんですけど。

所長

野村

技術研究の業務には、この仁井田試験室での試験業務と、プラント試験室でのコンクリート試験・製造業務があります。
プラント試験室ではアスファルトの試験を行い、仁井田試験室では、そのアスファルトの下に敷くための土や砕石の試験を行います。密度はどうか、粗さは、沈みやすさは…というふうに、その土がどんな性質をもっているのか調べるんです。

課長

山脇

試験の目的の一番は土の強度を知ることです。それと、土や砕石は一度ほぐして現場で締固めるので、きちんと締まっているかどうかの確認も必要です。品質管理と言われる部分ですね。

所長

野村

土とか砕石って、同じものがないんですよ。同じ山から採った土でも、採る時期や採る場所が数メートルずれるだけで性質が全然違う場合があります。
試験のためのサンプルとして現場で使う土や砕石を頂くんですが、もし後で足りないからといって同じ山から土を取ってきたとしても、工事で使うのと同じ土ではないので正しい試験ができません。それを細かいといわれたらそれまでなんですけど、やっぱり同じ材料でスタートしないと良い試験もできないし、良いデータも出せません。

正しい試験が一回でできるように。

所長

野村

試験のやり方は決まっていますので、工程としては全て同じです。JISとか地盤工学会の試験方法に則って試験をしています。ただ、その試験方法通りにやるための調整が難しいんです。
マニュアル通りに試験を進めようとしても、土は千差万別でなかなかうまくいきません。その調整は現場ごと、土ごとにやらなきゃいけないですし、同じ条件でやらないと良いデータが取れないので、どう調整するか判断します。ここで出した基礎データを基準に現場を監理していくことになるので、一番重要ですね。

課長

山脇

サンプルを採る時期が早すぎたり、表面の土だけ試験しても意味がないです。現場で使うときと同じ条件になるように、実際に使う時間帯まで考慮して試験を行っています。現場の品質に直結する事なので丁寧にやります。

所長

野村

もし試験がきちんとできていなくて、間違ったデータをもとに舗装してしまうと、道路に陥没やひび割れが発生します。例えば、基準が「2」のものに対して真の値は「2.2」だったとしたら、この時点で1割も違うわけですよね。当然監理値がおかしくなるので、その場合は今入ってる材料をもらってまた同じ試験をやります。

結果のズレは、サンプルの土がちょっと違ったりするのが原因です。表土みたいなフカフカの土からガラガラの土まで色々あって、それが色んな割合で混ざって現場にあるわけです。

フカフカの表面部分だけ試験しても、あとのガラガラの所を監理できません。ですので平均的な所で試験をしますし、資材を採る場所が変わるたびに試験します。現場もプロなので、正しい試験が一回で出来るように、サンプリングは試験に適した真ん中の部分を持ってきてもらえます。闇雲に慌てて採ったりしませんし、逆に遅くなるようなこともありません。

私たちは解決できて当たり前。

所長

野村

良い仕事、良い試験をするために私たちの方で心がけてるのは、土を触って経験する事ですかね。触って握って、回数こなすしかないです。あとそれをどうやって記憶していくか。やったことを自分の中で消化して整理して、困った事に引き出せるようにするっていうことです。
試験自体は決められた方法の通りにやるだけなので、私たちはその試験方法を丁寧に、効率よくやる、報告書をすばやく正確に書くっていう部分に注力します。

課長

山脇

試験の目的、何がしたいのかという要望を施主さんなり発注者の方にヒアリングして引き出すことも大切です。
試験の種類はたくさんありますので、それならこれとこれの試験をやったらいいですよ、とご提案することもあります。

所長

野村

僕らは「裏方のプライド。」のさらに裏方です。技術設計者が現場に出ていく場面というのは、あまりいい場面じゃないんですね。これが良くない、これができないといった、役所を含めてどうするかという時に、一番最後の砦として我々が呼ばれます。私たちは解決できて当たり前なので、実際に行ってみて試験なりを提案して、原因を見つけ、業者さんなりと相談して解決していきます。

現場が困った時に最後の説得材料を作っていく…そういう点では結局データが必要なんですね。試験はデータを取るためのものです。何のデータを欲しいのかっていう目的を明確化させて、試験をやっていきます。

私たちの仕事で成果を上げるというのは、ご納得いただくこと。トラブルがあったときに解決できれば、よくやったと思いますね。